事務所からのお知らせ
2024年1月12日
専任技術者の「実務経験」の意義とその証明方法について
専任技術者となるためには、実務経験を求められることがあります。
どのくらいの期間の実務経験が必要かは、対象者がそれぞれどの学校等を卒業したかによって異なってきます。
まずは、関連法令を紐解いてみましょう。(文章をすっきりしてわかりやすくするため法令名等は割愛します。)
【建設業法】
第7条2 その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し高等学校若しくは中等教育学校を卒業した後5年以上又は大学若しくは高等専門学校を卒業した後3年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上実務の経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
と、上記のように規定されています。要約すると、実務経験により専任技術者に専任するためには、
①大学卒業+3年以上の実務経験
②高等専門学校卒業+3年以上の実務経験
③専門学校卒業(高度専門士、専門士)+3年以上の実務経験
④高等学校・中等教育学校卒業+5年以上の実務経験
⑤10年以上の実務経験
※①~④は、いずれも指定学科を卒業していることが必要(別記事で説明しています。)
となります。
それでは、この「実務経験」とは、どのようなものを指すのでしょうか?
一般建設業許可の専任技術者に認められる実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての実務経験であって、工事施工のための指揮・監督や建設機械の操作当、建設工事の施工に直接携わった経験をいいます。他にも、見習い中の者が技術の習得のために行う技術的な経験も認められます。また、この実務経験は、建設工事の請負人としての立場で行った経験だけでなく、建設工事の注文者として、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計業務に従事した経験も認められています。
ただし、実務経験として認められない場合もあります。電気工事及び消防設備工事については、それぞれ電気工事法、消防法等により電気工事士免状及び消防設備士免状等の交付を受けた者でなければ、一定の工事に直接従事できないこととされているので、免状等の工事を受ける前の実務経験は経験として計上されません。また、解体工事については、「建設リサイクル法」施工後は、軽微な建設工事であっても同法に基づく解体工事業登録が必要となるので、建設リサイクル施工後~解体工事業登録前の期間の実務経験は、同じく経験として計上することができません。これらの場合には違法として扱われますので、許可申請に当たっては特に注意が必要です。
実務経験により専任技術者とすることを考えた場合、経験期間が重複しているものにあっては原則として二重に計算しないとされていますので、複数業種の許可を同一の専任技術者で取得したいと考えている場合は注意が必要です。例えば「10年の実務経験で2つの業種を取得したい。」と思った場合、トータルで最低20年以上の期間の実務経験の証明が必要となりますので、極めて困難であることが予想されます。
次に、実務経験の期間の証明方法について説明します。
建設業許可の申請に当たっては、実務経験の証明は「実務経験証明書」という書類と、それを証明する「請負契約書」又は「注文書及び請書」の添付が求められます。「請求書」を添付することによって許可が受けられる場合もありますが、この場合は注文者と入金額がわかる銀行通帳が必要となります。
注意すべき例として、12年職人としてやってきたから、と10年の実務経験を証明しようとした場合、その間に仕事のない期間や書類が揃えられない期間が2年1か月以上あった場合、「10年以上の実務経験」として認められません。また、添付書類の工事の件名が「許可を受けようとする業種の工事をしているのか判断できない。」という場合には、適切な書類として認められない可能性が高いので注意が必要です。
以上、本記事では「実務経験」の意義とその証明方法について説明してまいりましたが、いかがだったでしょうか?
はっきりいってとても面倒なことが多いように感じますね。
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