事務所からのお知らせ
2023年12月28日
建設業許可は絶対必要なのか?
「建設業を始めたい。」と思った場合など、いろいろインターネットで検索してみると、「建設業許可」という単語が出てきて、「この許可は絶対に必要なのか?」という疑問が生じることもあると思います。
結論をいいますと、「軽微な建設工事」のみを請け負っている場合を除き、許可が必要となります。別の言い方をすれば、「軽微な建設工事」のみを実施するなら建設業許可は必要ない、ということにもなります。
この「軽微な建設工事」とは、工事一件の請負代金の額が、「建築一式工事の場合、1,500万円に満たない工事又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事」、「建築一式工事以外の工事の場合、500万円に満たない工事」のことを言います。この「1,500万円に満たない」、「500万円に満たない」という金額は、消費税及び地方消費税相当額を含みます。また、注文者が材料を提供した場合は、その市場価格と運送費を含みますので注意が必要です。
よくある間違いとして、軽微な建設工事は請負金額500万円以下と認識しているケースがあります。1件の請負金額が500万円ちょうどの場合、軽微な工事500万円未満には該当しないため建設業許可が必要となります。
建設業許可を取得するためには、一定の条件を満たさなければならないし、お金もかかります。それでも建設業許可を取得するメリットは、いったいどこにあるのでしょうか?
その質問に対する回答として、建設業許可を取得しているということは、①建設業の経営ノウハウがあること、②建設工事を受注や施工できる技術があること、③財力があること、について国又は都道府県からお墨付きをもらっているようなものであり、建設業許可を持っていれば、それだけで信用につながる、ということがあります。
また、建設業許可を取得する最大のメリットとしては、単純に軽微な建設工事を超える500万円以上の工事を受注することが可能になり、売り上げの増加が見込めるということです。発注者やゼネコン等の元請業者によっては、建設業許可を持っている業者にしか工事を発注しないとしている場合があるため、建設業許可を取得しておくことで失注を防ぎ、売り上げの大幅アップを期待することができます。
それでは、建設業許可が必要となるタイミングはいつなのでしょうか?工事の着工までに許可をもらっていればよいのでしょうか?
建設業法では、建設業とは、「工事の完成を請け負う営業をいう。」と定義されています。また、軽微な工事を除いて、建設業を営む者は建設業許可を受けなければならないとされていますので、「建設業を営む」=「建設工事の完成を請け負う」場合には建設業許可が必要だということです。
つまり、建設工事の請負契約を締結するタイミングで建設業許可が必要だということです。建設工事を施工するまでに許可があればよいというわけではありません。
建設業許可がない状態で軽微な建設工事を超える500万円以上の請負契約を締結すると無許可業者として建設業法違反となります。無許可業者に対する罰則は、行為者に対して「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」、法人に対しては「1億円以下の罰金」と重い罰則が用意されています。
工事を受注する際は、その請負金額に注意するとともに、建設業許可が必要な場合にはそのタイミングにも注意しましょう。