そもそも「建設業」って?|建設業許可の概要

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そもそも「建設業」って?

 建設業法でいう「建設業」とは、元請、下請、その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負うことをいいます。「請負」は、民法で規定される典型契約の一種で、当事者の一方(請負人)が、ある仕事を完成することを約束し、相手方(注文)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することにより成立する契約をいいます。したがって、この定義に当てはまらないものは、建設業に類似する行為であっても建設業法で定められる「建設業」には該当せず、例えば労働力の提供のみ(いわゆる「人工出し」)、設備のメンテナンス(業務委託)、建売住宅の売買などは「請負」に当たらないため「建設業」には含めることができません。

建設業許可を必要とする工事と必要としない工事

 建設工事には、建設業許可を受けていなければ施工することができない工事と、建設業許可を受けていなくても施工できる工事があります。建設業法では、次の通り定められています。

1 建設業許可を必要としない工事(建設業許可を受けなくでもできる工事=軽微な建設工事)
(1)建築一式工事の場合
  ア 1件の請負代金が1,500万円(消費税込)未満の工事
  イ 請負代金の額に関わらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
    (主要構造部が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供するもの)
(2)建築一式工事以外の工事の場合
   1件の請負代金が500万円(消費税込)未満の工事を施工する場合

2 建設業許可を必要とする場合
  上記1を除くすべての建設工事

※以上の建設業許可の要・不要を判断する場合においては、次の点に注意が必要です。
① 請負代金の限度に達しないように工事を分割して請け負う場合
  ⇒ 全体を1つの工事とみなして合計金額で判断されます。
② 注文者が原材料を提供している場合
  ⇒ その原材料の価格と運送費が請負契約の代金に加算されて判断されます。

建設業許可を取得するメリット

 建設業許可を取得するためには、一定の要件を満たさなければなりません。つまり、建設業許可を持っている建設業を営む者は、
① 建設業の経営ノウハウがあること
② 建設工事を受注や施工できる技術があること
③ 財力があること
について、国または都道府県からお墨付きをもらっているようなものです。建設業許可を持っていれば、それだけで信用につながります。

 また、建設業許可を取得する最大のメリットとしては、軽微な建設工事を超える500万円以上の工事を受注することが可能になるということです。発注者やゼネコン等の元請業者によっては、建設業許可を持っている業者にしか工事を発注しないとしている場合があるため、建設業許可を取得しておくことで失注を防ぐことができます。

建設業許可の種類

1 「大臣許可」と「知事許可」の区分 
 建設業の許可の分類要領の1つとして、国土交通大臣許可と都道府県知事許可があります。これは、営業所の設置状況によって、「大臣許可」を取るべきか、「知事許可」を取るべきかが変わります。
 営業所が単一の都道府県内に存在する場合(複数の営業所が存在する場合を含む)の許可権者は都道府県知事となり、営業所が複数の都道府県に存在する場合の許可権者は国土交通大臣となります。
 北海道では、知事許可が必要な場合は北海道建設部建設政策局建設管理課が、大臣許可が必要な場合は北海道開発局が行政の窓口となっております。
(1)大臣許可:2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合
(2)知事許可:1つの都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようとする場合

2 「一般建設業」と「特定建設業」の区分
 建設業許可は、下請けに出そうとしている工事の額によって、「一般建設業」と「特定建設業」に区分されています。
(1)特定建設業許可:発注者から直接請け負う1件の建設工事につき、その工事の全部または一部を、下請代金の額(下請契約が2以上あるときは、下請代金の総額)が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円以上となる下請契約を締結して施工しようとする場合
(2)一般建設業許可:特定建設業以外の場合

「営業所」とは?

 建設業法上の「営業所」とは、「本店」又は「支店」若しくは「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」のことをいいます。
 「本店」又は「支店」は、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」でない場合でも、他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、「営業所」に該当します。
 「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積、入札、請負契約の締結に係る実態的な行為を行う事務所のことをいいます。契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるかは問いません。
 単に登記上の本店等に過ぎないもの、及び建設業を他の営業と兼営する場合等における支店、営業所であって建設業にはまったく無関係なものは、「営業所」には該当しません。
 許可を受けた業種について軽微な建設工事のみを行う営業所についても法に規定する「営業所」に該当します。よって、当該営業所が、主たる営業所の所在する都道府県以外の区域内に設けられている場合は、「大臣許可」が必要になります。

一般建設業許可と特定建設業許可の違い

 この区分は、発注者から直接請け負った工事に関し一定額以上を下請負する事業者において、一般建設業許可に比べて許可基準を荷重した特定建設業許可の取得を要件とすることにより、多様化・重層化した下請構造を有する建設業において、下請負人を保護することを目的として設けられています。

 したがって、特定建設業許可を取得した事業者については、下請代金の支払い等に関し、一般建設業許可に比べて多くの業務規制が適用されます。

①特定建設業の許可
 発注者から直接請け負う1件の建設工事につき、その工事の全部または一部を、下請代金の額が4,500万円(その工事が建築一式工事の場合には7,000万円)以上となる下請契約を締結して施工しようとする者が取得する許可
②一般建設業許可
 特定建設業の許可を受けようとする者以外の者が取得する許可

建設業許可の有効期間

 建設業許可の有効期間は、許可のあった日から5年目を経過する日の前日をもって満了することとされています。
 この場合、当該機関の末日が日曜日等の行政庁の休日であっても、その日をもって満了することになります。
 したがって、引き続き建設業を営もうとする場合には、期間が満了する30日前までに、最初の許可を受けた時と同様の手続きにより許可の更新の手続きをとらなければならず、手続きを怠れば期間満了とともに、その効力を失い、引き続いて営業することができなくなります。
 なお、許可の更新の手続きをとっていれば、有効期間の満了後であっても許可又は不許可の処分があるまでは、従前の許可が有効となります。